愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

「……そう言われてみればそうかも」
「おい」

 深澄さんは不快そうに眉を顰めるものの、本気で怒っているわけではなさそうだ。

「そういう深澄さんこそ、意外と女性が苦手なんじゃないですか? モテるでしょうにあんまり浮いた噂を聞かないし、初恋の思い出すらないくらいですし」
「別に苦手でも得意でもない。ただ、振り向かせたい相手以外に興味がないだけだ」

 静かに語って、グラスを傾ける彼。

「つまり、そんな風にカッコつけてるのに、絶賛片想い中ってことですか……?」
「お前、失礼にも程があるぞ。これは俺の自然体だ」

 ゆるく握った拳で、深澄さんが私の額を小突く。しかし、片想いの方は否定しなかった。

 この傲慢な俺様パイロットが、誰かにひっそり思いを寄せているなんて……!

 酔っている影響もあるけれど、初めて彼の弱みを握ったような気分になって、私は内心興奮する。

「お、お相手はどんな方なんですか?」

 興味本位で尋ねたら、深澄さんはひゅっと目を細め、私を鋭く睨みつけた。

「お前にだけは絶対に教えない」
「えー! いいじゃないですか、減るもんじゃないし」
「昭和のセクハラ親父みたいなことを言うな」

 呆れた顔で窘められ、むっと口を尖らせる。手にしていたグラスを口にあてたら、いつの間にか中身はなくなっていて、ひんやりとした氷が唇に当たった。

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