愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「なんにせよ、一番というのはいい響きだ。お前の心にそんな深い印象を与えられたなら光栄だよ」
「そういうの、負け惜しみって言うんじゃないですか?」
「……お前は本当に口が減らないな」
軽く眉を下げて苦笑し、またネグローニに口をつける深澄さん。彼がグラスを揺らすと、氷がカラント音を立てる。
悔しいけれど、その横顔は映画のワンシーンのように美しい。
でも、瞬きを繰り返すうち、彼の姿がなんだかぼんやりと霞んでくる。
少し飲みすぎたかもしれない。これ以上ここにいてもけっきょく深澄さんと言い合いになるだけだし、そろそろ帰ろうかな。
「最上さん、お会計をお願いします」
「はいよ、了解」
スマホの電子決済を使って席に着いたまま会計を済ませると、なにも考えずに高いスツールから下りる。
しかし、足をついた床が突然ぐにゃりと歪んだような感覚がして、私は体のバランスを崩した。
「わっ」
思わずよろけた私だが、隣の席からスッと伸びてきた腕に受け止められた。ウエストの辺りをがっちりと抱き留めているのは、深澄さんの右腕だ。
「あ、ありがとうございます……」
思いもよらぬところで助けられてしまい、急に気まずくなる。
彼の目を見ずに早口でお礼を言うと、私を支えてくれている腕からそっと身を引いて、千鳥足で店の出入り口へ向かった。