愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「だ、大丈夫ですよ。ここのマンションはしっかり防犯対策をしてますから、外部の人は入れませんし」
「マンション内に悪人がいないとも限らないだろ……」
「物騒なこと言わないでください」
私が渋るそぶりを見せても、深澄さんに引き下がる様子はない。
彼とは同僚だし、今回送ってもらった恩もあるし……そんなに拒否するほどのことでもないか。
私はキャリーケースとは別のハンドバッグを漁って、スマホを取り出した。
それから粛々と、メッセージアプリでお互いの連絡先を交換する。深澄さんのプロフィールアイコンは、鋭い目と濃いグレーの羽を持った猛禽類らしき鳥だった。
「これ、なんの鳥ですか?」
「ハヤブサだ。名前に入ってるから」
「なるほど……」
下の名前、知隼だっけ。パイロットの彼にぴったりだ。
「ちなみに、お前のこれはなんだ? サボテン?」
彼が目を細めて見つめているのは、私がアイコンにしている写真だろう。陶器の植木鉢に入った、サボテンの寄せ植え。
そのうちのひとつが、ちょうど赤い花をつけたときに撮ったものだ。
「そうです。家を空けることが多くて生き物は飼えないので、水やりが少なくて済むサボテンを育てるのが唯一の趣味で」
「……お前みたいだな」
深澄さんが、ボソッと呟いた。
彼がそう思う理由にはなんとなく想像がついたので、私は拗ねたように口を尖らせる。
「どうせ私は棘だらけですよ」
「違う。そういう意味じゃない」