愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
俺様副操縦士を嫌いになった日
バタバタと忙しい日々を過ごしているうちに、カレンダーは九月に変わった。
夏らしいことをひとつもした覚えがないが、仕事が充実していたのでよしとする。
思いがけず深澄さんとバーでお酒を飲んだ日からは二週間余りが経過していて、あの日マンションの自分の部屋に到着したことをメッセージで報告して以降、とくに連絡はなかった。
しかし、その夜は久々に彼からのメッセージが届いた。
お風呂上がりだった私は、寝室に敷いてあるラグの上に座り、足にボディクリームを塗っている最中だった。
家の間取りは1DK。小さめのダイニングキッチンに寝室用のひと部屋がくっついていて、お風呂とトイレは別。ひとり暮らしには十分な部屋だ。
寝室の出窓には、私の唯一の趣味であるサボテンをいくつか飾っている。
クリームのついた手をティッシュで軽く拭い、スマホを手に取って彼からのメッセージを開く。
【今、イタリアのフィレンツェにいる。なにか土産に欲しいものはないか?】
丸いハヤブサのアイコンが、そう言っていた。
「フィレンツェ……時差的に向こうは昼間か。仕事? それにしても唐突だな」
だいたい、私たちはお土産を贈り合うような間柄ではない。
私は最近ヨーロッパ方面への乗務がないので、正直いくつか頭に思い浮かぶ品物はあったけれど、さすがにそれを深澄さんに買ってもらおうとは思わない。
彼に頼んだら対価の方が高くつきそうだもの。