愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
すぐに持ち場に戻れるよう、基本的には髪もメイクもそのままにして横になる人が多いけれど、彼女は思いのほかぐっすり眠ってしまったのだろう。
きっちり結ってあったはずの髪が何束か飛び出して浮いていた。
私も彼女のように経験の浅い頃は、同じように慌てた記憶がある。少し懐かしい気持ちになりながら、ベッドから下りた。
「ちょっと見せて。……これなら、ピンでなんとかなるよ。じっとしててね」
「は、はい」
飛び出した髪を押さえつけながら整え、持ち歩いているメイクポーチから出したピンで固定していく。
最後に、愛用しているスティックタイプのワックスで髪に滑らせ、おくれ毛を整えた。
後ろから鏡を覗き、本人に微笑みかける。
「どう? 後ろはちゃんとまとまったけど、前とか横の仕上がりも大丈夫?」
「はい! ありがとうございます……!」
CAらしい笑顔になった後輩を見送ると、私はベッドへ戻って横になる。
仮眠といっても二時間も眠れないので、すぐに目を閉じる。しかし、頭の中では起床後の段取りをすでに考え始めていた。
この後は朝食サービス……入国書類のご案内に、着陸前チェック。
そういえば、C24の座席にいる乗客はもうなにもしてこないよね……?
私は目を閉じたまま、軽く眉根を寄せた。
ひとつ、今日のフライトで気になっていることがあるのだ。