愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
通路に近い席に座っている、日本人の男性客。年齢は三十代くらいで、スーツにペイズリー柄のネクタイを合わせていた。
ごく普通のビジネスマンかと思いきや、そばを通りかかると用もないのにやけに目が合い、その度ににっこりと微笑みかけられる。
それだけならまだしも、ドリンクサービスでカップを受け渡す時、彼はおそらく故意に私の手に触れた。
『あ、すみません』
口では謝っていたものの、彼は手を離す前、ねっとりと私の手を撫でてから指先をカップに移動させた。その後も何度か視線を感じ、顔だけでなくお尻や脚を見られているような気がした。
思い出したらゾクッとしてしまい、手繰り寄せた肌掛けで肩までぴっちりと包む。
……忘れよう。どうせ、あと数時間同じ飛行機に乗るだけの相手だ。
固く目を閉じ、しばし体を休める。
狭いクルーレストは落ち着く空間とは言い難いが、立ちっぱなしよりはマシだ。
*
休憩後、シミュレーション通りのサービスをそつなく提供し、長かったフライトも終わりに近づいてきた。
C24の乗客は相変わらず私を見ているような気がしたけれど、忙しいので気にしている余裕もない。
そろそろ着陸だなと感覚的に思った直後、パイロットのアナウンスが客室に流れる。