愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
彼にそこまでされて、私はようやく我に返る。そして、オドオドしながらもようやく自分の役割を思い出し、脱出訓練に復帰することができた。
しかし、ホッとしたのも束の間。訓練の後でお礼を言うために深澄さんのもとへ行くと、彼は呆れたような目で私に言った。
『俺が本物の乗客だったら、二度とこの航空会社の飛行機には乗りたくない。お前のようなCAには命を預けられない』
当時はかなりショックだったけれど、彼の言い分は至極まっとうだった。
新人の頃はまだ学生気分が抜けておらず、乗客の命を預かるという覚悟も足りなかったのだ。
私は元々負けず嫌いな面もあるため、落ち込むというよりは、深澄さんの言葉で目が覚めた気がした。
彼は言葉や態度は厳しいけれど、根は優しくて面倒見のいい人に違いない。
……と、初めての緊急脱出訓練直後は、どちらかというと深澄さんに好印象を抱いたのだけれど……それが、真逆の感情に変わってしまったのは、翌年の訓練でのことだ。
トレーニングセンターで再び顔を合わせた際、彼は私を見るなり疲れたようなため息を漏らした。
『またお前か。……今度はミスをするなよ』
私としては成長している自覚があったのでムッとしたけれど、彼には昨年の印象が強かったのだろう。
嫌味を言われたことで私のやる気にはむしろ火がつき、その年の脱出訓練はミスなく終えることができた。