愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
トレーニングセンターの教官にも『迷いがなくてよかった』と声をかけてもらったのだが、深澄さんは訓練の後で再び私に突っかかってきた。
『あのクオリティでいいと思ってるならまだ半人前だ。指示の声が小さかったから、勝手に動き出す乗客もいるかもしれない。去年よりはマシだったが、もっと客室を制圧するくらいの迫力でやれ』
彼は言いたいことだけ言うと、用は済んだとばかりに私の前を離れていく。
声が小さい……? いやいや、教官には褒められましたけど!
すぐに反論したかったものの、彼の方が先輩だし、パイロットだからこその目線もあるのかもしれないし……と思うと、素直に受け入れるべきなのかもと、その場では口を噤んだ。
が、どうにも悔しい気持ちが拭いきれず、訓練後に同期の梨沙子を最上さんの店に誘って、お酒を飲みながら散々彼のことを愚痴った。
彼の言い分は正論なのかもしれないが、訓練生の時期はとうに過ぎ、いちCAとしてプライドと責任感を持って日々の仕事に当たっている同僚に『半人前』とは、あまりに思いやりがない。
顔よくて有能だからって偉そう。いつも人を馬鹿にした物言いをする。
アナウンスの英語がうますぎて鼻につく。性格が悪いのにモテる。
――酔いが回るにつれ低レベルな悪口になっていったが、とにかくその日から、私は深澄知隼という人が大嫌いになったのだった。