愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

「あー疲れた。でも、とりあえずまた一年、無事にCAやれそうでよかったよ」

 乾杯のスパークリングワインを飲み干しが梨沙子が、安堵の表情で呟く。

 リカレントトレーニングの全日程を終えた夜、私たちは約束通り夕食を共にしていた。店内は薄暗い隠れ家風で、炭火で焼く肉料理とワインが売りの落ち着いたバルだ。

 しばらくお酒を控えていた私も、今日は自分へのご褒美として遠慮なく飲むことにした。

「でも、また来年になったら『リカレント嫌だ~!』って連絡してくるんでしょ」
「そりゃそうよ。直前に気が滅入るのも含め、恒例行事」

 スッキリと額を出したオールバックポニーテールがよく似合う、きりりとした顔の梨沙子。

 一見性格もさばさば系かと思いきや、意外にも私よりネガティブだ。

「それはそうと、さっそく深澄さんの件聞かせてよ。どうして連絡先を交換する事態になったの?」

 おつまみの骨付きチキンに手を伸ばし、ひと口齧った梨沙子が言う。

 そういえば、彼のことを話す約束だったっけ……。ややげんなりしながら、私もチキンを掴む。

「あー……なんだかあの夜のことはあんまり思い出したくないけど」
「なにその意味深発言! まさか綺美、スカイイーストの至宝と一夜の過ちを犯したんじゃ……」
「そ、そんなことあるはずないでしょ!」

 想像力がたくましすぎる梨沙子のせいで、思いがけず頬が熱くなる。

< 34 / 60 >

この作品をシェア

pagetop