愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「はぁ……食べすぎたかも」
駅からマンションへと帰る道すがら、やや膨れたように感じるお腹をさすりながら呟く。
しかし、お酒もお肉も美味しかったので後悔はしていない。
ダイエットは明日から――という定番文句を頭の中で唱え、上機嫌で自宅近くの公園の前を通る。
日付がまもなく変わるという時間帯なので、辺りはとても静か。
前に深澄さんとここを通った時とはまた違う種類の虫が鳴いていて、昼間は暑くても秋に差し掛かっているんだなとぼんやり思う。
……そういえば、深澄さんはフィレンツェから戻ったのだろうか。メッセージ、結局返していないままだ。
ゆっくり足を進めながらスマホを出し、一応なにかしら返信をした方がいいかと悩んでいたその時。
ふと、背後に人の気配を感じ、ゆっくり後ろを振り返る。
「……あれ? 気のせいか」
街灯に照らされた道路には誰の姿もなく、野良猫でも通ったのだろうと納得する。
【お疲れ様です。昨日と今日はリカレントでしたが、深澄さんがいないので緊張せずに済みました】
少々、嫌味っぽすぎるだろうか。
一瞬躊躇ったものの、これくらいで怒るようなタイプでもないだろうとそのまま送信する。
バッグにスマホをしまった後、また背後に誰かがいるような気がして振り返ってみたけれど、やっぱり誰の姿も確認できなかった。