愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「べルモット・ロッソ……このラベル、最上さんのお店で見たことがあるような」
「あの店で使っているスイートベルモットだ。最上さんのネグローニが自宅でも再現できるぞ」
「えっ。本当ですか?」

 大好きなカクテルの名前が飛び出したので、食いついてしまった。深澄さんはふっと笑って、私の持っている箱を軽く叩く。

「ジンとカンパリは日本でも手に入るが、これだけは通販でも手に入らないものなんだ。最上さんも、おそらくわざわざ買い付けにいっているんだろう。元々ネグローニはフィレンツェが発祥だから、上質なベルモットを作っているワイナリーが多いんだ」
「へえ……。そんな貴重なものをいただいていいんですか?」
「ああ。自分用は別に買ってあるし、ネグローニに限らず好きなように飲んでくれればいい」

 彼は気軽な調子で言うと、車内灯を消してエンジンをかける。

 気まぐれにしては気の利いたお土産をもらってしまい、素直に感謝するしかない。

「あの……ありがとうございます。大切に飲みます」
「どういたしまして。このまま自宅に送ればいいか?」

 どうせからかわれるに違いないと思っていたので、純粋にお土産を渡されて自宅まで送ってもらうという展開に、調子が狂う。

 動き出す車の中でぺこりと頭を下げた。

「は、はい。お願いします」

 私のかしこまった返事を、深澄さんも少しおかしいと感じたらしい。立体駐車場のスロープにそってハンドルをさばきながら、私に言う。

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