愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「七里の明日からのシフトは?」
「えっ? と……明日から国内線乗務が三日続いた後自宅スタンバイで、連休を挟んだ後は国際線だったと思います」
「そうか」
深澄さんは低い声でそう言ったきり、黙って運転に集中する。
聞かれたから答えたのに、反応が薄すぎて逆に気になる。
「あの、どうして私のシフトを?」
赤信号の交差点に差し掛かったところで、思い切って尋ねてみる。
「ん? それは……まだ、借りを返してもらってないからな」
深澄さんの流し目が、妖しげな色を纏って私を見る。不本意にも、胸がドキッと鳴った。
か、完全に藪蛇だったかも。
「根に持ちますね……」
「記憶力がいいと言ってくれ」
信号が変わり、再び車が動き出す。車内は沈黙に包まれ、結局深澄さんの真意はわからないまま。
そうこうしているうちに、私のマンションが見えてくる。とくに渋滞などはなかったので、車に乗っていた時間は予想通り十分程度だった。
公園の前を通り過ぎてマンションの正面に着くと、深澄さんが路肩に車を止める。
会話の終着点が宙に浮いたままの気がするけれど、だからといって車を降りないのもおかしい。
とりあえずシートベルトを外し、彼に改めてお礼を言った。