愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
彼の呟きに、鼓動がどくん、と嫌な音を立てる。
そんな……。ここに引っ越してから、今まで一度もそんなトラブルはなかったのに。
いや、そういえばこの間も夜の帰宅時に、誰かの気配を感じたっけ……。
今回のこととは関係ないかもしれないけれど、もしかしたら……と思うだけで、じわじわと恐怖が広がった。
意図せずに体が震えてしまう私に気づいたのか、深澄さんは私の背中に回した腕の力を強くする。
「悪いがもう少しだけジッとしてろ。……男が離れていきそうだ。見えなくなってから解放する」
「は、はい」
こくこく頷いて、状況が改善するのを待つ。
あれだけ悪態をついていた相手に頼るなんて情けないけれど、今の私には深澄さんの存在しか縋れるものがなかった。
それから一分ほど経った頃だろうか。私を拘束していた深澄さんがスッと離れ、気遣うように私の顔を覗く。
「安心しろ、もういなくなった」
「そうですか……よかった」
ひとまずほっとするものの、乱れた鼓動はなかなか収まらない。怪しい男性はもういないとわかっていても、公園の方を振り向きたくなかった。