愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

「へえ……スタンガンは自宅に置いとくだけなら合法なんだ。携帯する場合は注意が必要……なるほど」

 棚に置かれた説明書きブツブツ読みながら、自分に合いそうな商品を吟味する。護身用のグッズはネットでも買えるけれど、やはりサイズ感や色は実物で確かめたい。

「さすまた……はさすがにいらないか」

 でも、いざって時には役に立ちそう。相手と距離を取りつつ威嚇できるんだもんね……。

 壁に立てかけるように陳列されているそれを手に取り、Y字に曲がった先端をしげしげと眺めていたその時。

「……七里さん?」

 聞き覚えのある声に名前を呼ばれ、振り返る。

 休日らしい私服姿でそこに立っていたのは、スカイイーストの頼れる機長、露木さんだ。

 私の手にさすまたが握られているのに気づいた彼は、ぎょっとした顔で両手を上げ、一歩後退する。

「ごめん。声をかけちゃまずかった……かな?」
「い、いえいえ! これ、たまたま手に取っていただけですから」

 慌ててさすまたを陳列棚に戻すと、露木さんもホッとしたように両手を下ろす。

「あの、露木さんがなぜこのお店に?」
「このところ、うちのマンション周辺で強盗が出たらしくてね。一応警備会社のホームセキュリティも導入してるけど、自分たちでも対策できることがあればと思って」
「なるほど。ご家族の身になにかあったら大変ですもんね」

< 50 / 81 >

この作品をシェア

pagetop