愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「ま、まぁそういうこと。俺のことはともかく、七里さんはどうしてここに?」
「……最近、自宅のそばに、不審者っぽい人がいて。実際に被害を受けたわけではないんですか、ひとり暮らしなのでなにかと備えがあった方がいいかなと」
「なるほど。それは怖いね。CAは仕事柄、人の少ない時間帯に出歩いたりもするし」
「そうなんです。このさすまたが、持ち歩く時にミニチュアになってくれたら一番いいんですけど」
「それはうちにも欲しいな」
軽い冗談で笑い合った後、私は露木さんと別れて、結局一般的な防犯ブザーを購入した。
さすまたよりは心許ないグッズだが、気休めにはなるだろう。
それからまた十日ほどが過ぎたけれど、防犯ブザーを使うような事態は訪れず、私の中にある恐怖もだいぶ和らいできた。
警戒心もすっかり緩んでいて、近所に出かける回数も増えている。
ハードなフライト日程を終えたその日の夜も、私はやわらかいニット素材のキャミソール、カーディガンにパンツがセットになった部屋着姿で、マンションの外に出た。
長らく続いていた残暑もようやく落ち着いてきて、夜はすっかり秋の雰囲気。おまけに少しお酒が入っているので、気分がよかった。