愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
家を出るまで飲んでいたのは、深澄さんにもらったスイートベルモットのソーダ割。
材料を揃えればネグローニも作れるけれど、試しに家にあった炭酸水で割ってみたところ、爽やかな飲み口でとても美味しく、すっかりハマってしまったのだ。
夜間にもかかわらずこうして出歩いている理由は、もう一杯作ろうとしたら炭酸水のボトルが空になっていたからだ。
手にしているスマホで時間を見ると、現在夜の十時十六分。
一番近いコンビニでもいいけれど、もう少し駅に近いのドラッグストアなら十一時までやっているし、値段もお手頃な炭酸水が手に入るはずだ。
店のある方へ向かってのんびり歩いていたその時、背後で誰かが缶を蹴飛ばしたような音がした。
なにげなく振り向いた先には、コロコロと転がる空き缶。
……だけでなく、缶を蹴ったと思われる人影が、暗いアスファルトの上に立っていた。辺りは暗いし、三十メートルほど離れているので、顔や体形はよくわからない。
べ、別に、たまたま通りかかった人……だよね?
くるりと前に向き直り、やや足を速めて歩く。カラカラ……と先ほどの缶がまた転がる音がして、後ろにいる人物も私と同じ方向に向かっている足音がする。
その速度が次第に速くなっている気がして、背中に冷や汗が伝った。