愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「それにしても、どうして夜のコンビニなんかに出かけたんだ? 生活必需品でも切らしたか?」
「いえ……。深澄さんにもらったスイートベルモットを炭酸で割るのが気に入ってるんですが、炭酸水を切らしてしまって……」
なんとも情けない理由なので、語尾が小さくなっていく。お酒くらい我慢しろと言われそうだ。
「なるほど……。ということは、俺のせいでもあるな」
「いえ、深澄さんはなにも悪くないです。でも……プライベートの外出は自分で制限できても、仕事で夜出かける場合はどうしたらいいんですかね。やっぱり、さすまたを持ち歩かなきゃダメかな……」
現実的に無理だとはわかっているが、沈んだ気持ちをごまかしたくて適当なことを言ってみる。
深澄さんは運転に集中しているのか、それとも私の馬鹿話には付き合いきれないのか、黙って前方を見据えている。
気まずさを感じ、運転席から顔を背けるように左側の窓の方を向く。
すると、ちょうどうちのマンション前の景色だった。車は速度を落とさず、我が家の前を通り過ぎる。
……えっ?
「あ、あの、マンション、過ぎちゃいましたけど……」
「騒ぐな。わかってる」
「わかってるなら戻ってください!」
後方をを指さして訴えるものの、深澄さんは渋い顔で私を諭す。
「お前、今帰って無事に過ごせると思うのか? この間の件といい、お前を追いかけ回す男はあのマンションにお前が住んでいると知っていて、待ち伏せたり後をつけたりしている可能性が高い。動機は憎しみか、歪んだ愛情か……どちらにしろ、今すぐ自宅に帰るのはやめた方がいいだろう」