愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
冷静に指摘され、サッと血の気が引く。
あの男性を一時的に撒いたとしても、どうせ再びやってくるから意味がない。深澄さんはそう言っているのだ。
「おっしゃることはわかりました。今夜はとりあえず、適当なビジネスホテルを予約します。長い目で見たら、引っ越しも考えなきゃいけなそうですね……」
転居に関する様々な手続きの数々を思い浮かべ、思わずため息を漏らす。
しかし、憂鬱に浸っている場合ではない。取り急ぎ、今夜寝るところを確保しなければ。
スマホの検索アプリを開き、さっそくビジネスホテルを検索しようとしたその時。
「今夜はうちに泊まれ。部屋なら余ってる」
「……はい?」
聞き間違いかと思い、首を傾げて彼を見る。深澄さんは冗談を口にした風もなく、真剣な顔でハンドルを握っている。
「別に、変な風に勘ぐる必要はない。同僚のよしみで避難所を提供すると言ってるだけだ」
「避難所……」
元の家からそう遠くなく、仕事にも理解がある同僚の家に避難する。
とても合理的かつ魅力的な提案だが、男性の家にいきなり転がり込むというのは、いくら相手が深澄さんでもいささか躊躇する。
「いや、それはさすがにご迷惑では……」
「もう着く」
「早っ!」
そ、そういえば彼の家って近いんだっけ……。
納得はできていないものの車から飛び降りるわけにもいかず、私はやがて見えて来た低層マンションへと連行されていくのだった。