愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
勝手にインテリアを想像しつつ案内された彼の部屋。最初に通されたリビングダイニングは、落ち着いた茶系の家具が並び、そのどれもが高級そうに見える。
照明は控えめで、お洒落な大人の男性の部屋という感じだ。
私はそこで急に、自分がずっと部屋着姿だったことに気付き、今さらながら恥ずかしくなった。
「あ、あの……すみません。こんな格好でお邪魔して」
コンビニで買ったものをキッチンで片付けている彼に、ぼそぼそと謝る。振り向いた深澄さんは軽く私の姿を上から下に眺めるも、表情を変えない。
「別に、家なんだから好きなな格好をすればいいだろう。なにか飲むか?」
「いえっ、お構いなく」
「この時間にカフェインはよくないだろうから、ミルク多めのココアでも作るか。適当にその辺に座って待ってろ」
……聞いた意味あったのかな?
とりあえず言われた通りソファに腰を下ろし、キッチンでココアの粉をスプーンで量る彼をなにげなく見つめる。深澄さんの家庭的な姿って、実は初めて見たかもしれない。
なんて思っていたら、彼の手元が狂い、ココアの粉が台に少しこぼれる。
軽く苛立ったように眉をピクリとさせた深澄さんを見ていたら、思わずふっと鼻から息が漏れる。
深澄さんはそれを聞き逃さず、キッチンからじろりと私を睨みつけて来た。
「すみません。仕事中の深澄さんは一切隙がないのに、ココアをこぼしたくらいで腹を立てる姿がおもしろくて」
深澄さんはちょっぴり心外そうな顔をしたものの、言い返しては来なかった。
しばらくして、完成したココアのマグカップをふたつ手に持った彼が、ソファの方にやってくる。
ふわりと立ち上る湯気から、甘い香りがした。