愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

「ありがとうございます」
「……なんにせよ、笑えるくらいの元気があってなによりだ。コンビニで電話していた時のお前は、かなり怯えていたようだったから」

 そう話しながら、少し間をあけて隣に座る深澄さん。

 彼に優しくされると妙にくすぐったくて、「ご心配おかけしました」と答えた後は、マグカップに口をつけた。優しい甘さが舌の上に広がる。

「なぁ、七里」

 呼びかけられて彼の方を見ると、この穏やかな空気には少し不似合いの、深澄さんの鋭い眼差しに射貫かれる。

 反射的に、ドキッと胸が鳴った。

「お前、俺と結婚しないか?」

 なにを言われているのかすぐには脳が処理できず、私はただゆっくりと目を瞬かせる。

 深澄さんはマグカップをコトッと目の前のローテーブルに置くと、座る位置を少しずらして私の方へ近づいた。

「今夜は一時的な避難でうちに来てもらったが、お前がさっき自分で言っていた通り、今の住まいからは引っ越した方がいい。しかし、仕事をしながら新居を探すのは結構骨が折れる。引っ越しに伴う事務的な手続きも山ほどある」
「そ、それはそうですが……」
「この家に引っ越してくるだけなら、そういったタスクは少なくて済むだろう。それに、一緒に暮らした方が、わざわざ電話で呼び出されるよりお前を直接守りやすい」

 彼はもっともらしい理屈を並べているが、だからといって結婚という発想は飛躍しすぎではないだろうか。このところ彼の印象が少しずつ変わってきたとはいえ、深澄さんは深澄さん。

 なにか、別の目的があるのでは……?

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