愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

「不審者の方は毅然と対応するとしてさ……そろそろ、突っ込みたいところ突っ込んでいい?」
「う、うん。なんとなく覚悟はしてます」

 危険な目に遭った経緯とともに、〝彼〟の話を避けては通れない。だから、極めて冷静に事実だけを淡々と報告したつもりではあったのだけれど。

 梨沙子が居ずまいを正し、ゴホンと咳払いする。

「じゃあ、言わせてもらいますけど……。スカイイーストの至宝、あの深澄さんのマンションに泊まった上、結婚を持ち掛けられただなんて、いったいどういうこと!?」
「も、もうちょっとボリューム抑えて梨沙子……」
「ごめん、つい興奮して。でも、実際どうだったの? お泊まりは」
「どうって……別々の部屋で寝ただけだよ。朝はすぐ送ってもらったし、梨沙子が期待するような展開はありません」

 それでも、ひとつ屋根の下で目を覚まし、部屋着姿の深澄さんに『おはよう』と言われるのは、なかなかの気恥ずかしさだった。

 仕事中は視界を確保するために後ろに撫でつけられている前髪が、ナチュラルに目の上でサラサラ揺れているのも、いつもと印象が違ってやけに色気を感じてしまったし……。

「しかし深澄さんも不器用な人だね。失恋したからってビジネス婚に舵を切るなんて」
「私もそう思う。いくら遠慮なく喧嘩ができるからって、人生を共にするのが私みたいなのでいいのかって、躊躇しちゃうよ」
「綺美自身はまんざらでもないってこと?」

 探るような目で見つめられ、うーんと首を傾げる。

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