愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

「別に乗り気というわけじゃないよ。でも、他に身を守る方法が思いつかないのと……彼には色々と借りがあるんだよね。ほら、前に言ったじゃない、酔った時に家まで送ってもらったって。その上昨日も助けてもらっちゃったから、私もなにかお返しをしなきゃなとは思ってる」
「ふ~ん。変なとこ真面目なのは綺美らしい。話を聞く限りあなたたちの相性は悪くなさそうだし、愛がないから離婚したくなったらスパッとできそうだし、試しに結婚してみるのもアリかもね」
「……なるほど。そっか。嫌になったら離婚すればいいのか」
「食いつくのそこなの?」

 梨沙子は呆れたように笑っているが、私にとっては新しい気づきだった。

 結婚したからといって、必ずしも深澄さんと一生添い遂げる覚悟を持つ必要はないのだ。

 今や夫婦の三組に一組が離婚する時代だというし、一度結婚に失敗したとなれば、深澄さんのお姉さんも再婚を強く勧めることはないだろう。


 綺美の言葉でなんとなく迷いが晴れたものの、私が休みであれば彼がフライト、私がフライトの時は彼が休み、という日々が続いた。

 季節もすっかり秋めいてきたが、十月に入ってすぐ、常夏のホノルルへのフライトで偶然彼と一緒になった。

 到着日は疲れているので会社指定のホテルにそのまま宿泊したが、翌日は自由に過ごせる休養のための一日。

 ほんの少しでも彼と直接会話をできるタイミングがあればいいのだけれど……。

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