愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
【わかりました。一時にこのお店に行けばいいんですね?】
【遅れるなよ】
最後までひと言多いんだから……。相手が私じゃなかったらパワハラだって、あとで教えてあげよう。
なんか、前にも似たような会話をした気がするけど。
気を取り直してアサイーボウルにスプーンを入れ、アサイーピューレ、バナナ、マンゴーを一度にすくって口に運ぶ。
フルーツのあっさりした味わいが、昨日のフライトで疲れた体に元気を与えてくれる気がした。
朝食にはリゾート風のロングワンピース一枚で行ったのだけれど、街に出るなら薄手の上着があった方がいいだろうと、麻のシャツを羽織ってホテルを出た。
約束の時間に間に合うようにバスに乗り、ショッピングモールのそばにあるバス停で降車する。
背の高いココヤシが建物を取り囲むように立っていて、ハワイにいるなと改めて実感する。
深澄さんに指定されたジュエリー店は、このモールの一階に入っているはずだ。
とりあえず店のある方向へと足を進めていると、彼から電話がかかってきた。
「七里です。とりあえずバス停から中に入りましたけど、深澄さんは今どちらに?」
『上の階で服を見てる』
「ちょっと! 人には遅れるなと言っておいて……」
『今そっちに行く』
謝罪もないままプツッと通話が途切れ、行き場のない怒りを募らせる。
まったく彼ときたら、マイペースにも程がある。