愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
ぷりぷりしながらもその場から動かずに待っていると、視界に映るエスカレーターから、長身の日本人男性が降りてくる。
胸元にサングラスを掛けた白のリネンシャツは清潔な印象で、ネイビーのハーフパンツからはすらりと長い脚が伸びている。
あらゆる国からの旅行者が行き交うこの場所にいても、人を惹きつける深澄さんのオーラは変わらない。
よく見ると、彼は右手に飲み物のカップ、左手には大きな紙袋を提げていた。自分だけさっさと買い物もグルメも楽しんだらしい。
「悪い、待たせた」
「ホントですよ! こっちは遅れないように神経を使ったのに……」
「わかったわかった。これで機嫌を直せ」
苦笑した彼が、右手に持っていた飲み物を私の口もとに近づけた。太めのストローがツンと唇の先に当たり、怪訝な顔で彼に尋ねる。
「これ、深澄さんが飲んでいたものじゃ?」
「ああ、お前のために毒味しておいた」
「また適当なことを言って……自分が買ったドリンクで遅刻をごまかそうとしているだけでしょう?」
「いいから飲んでみろ。タピオカ入りのヨーグルトドリンクだ」
なにそれ、美味しそう……。
つい興味を引かれたものの、彼にカップを持たせたまま飲むのは気が引けて、自分の手で受け取ってからひと口飲んでみる。
間接キスにどぎまぎする年ではないし、怒ってばかりいたので喉が渇いていた。