愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「わ、私がイメージしていた結婚と違います。さっきのお返事、撤回して再検討させてくださ――」
「却下。お前、有名なことわざを知らないのか? 『CAに二言はない』」
「そんなことわざはありません!」
「ほら、もう休憩は済んだんなら行くぞ。綺美」
「ちょっ……」
有無を言わさず手を引かれ、強制的にベンチのそばから連行される。
本当はもっと激しく異議を唱えたかったのに、いきなり『綺美』だなんて呼ばれ、言葉が出てこなくなってしまった。
恋愛経験がないので当たり前だが、大人になってから異性に気安く名前で呼ばれるなんて初めてのこと。断じてときめいてなどいないが、私の意思とは裏腹に鼓動が騒ぐ。
深澄さんって、本当に人を振り回すことにかけては天才……!
胸の内で恨み言を呟きつつ、ジュエリーショップの自動ドアをくぐった。
ハワイらしいウッドテイストにゴールドを合わせた店内は上品ながら温かみもあり、ほんのりと花の香りが漂っている。
「Aloha,welcome.」
ハワイらしい挨拶で店員に出迎えられ、職業病でこちらも微笑んでしまう。
深澄さんはつかつかと奥のカウンターへ歩み寄り、さっそく『婚約指輪を見にきた』と、英語で用件を伝える。