愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
自分で言っててちょっと寒気を感じながらも、顔には出さない。深澄さんも噴き出しそうになっているに違いないのに、相変わらず甘い恋人の顔をしていた。
『それでは、こちらなんかどうでしょう?』
私の作り笑いもそろそろ限界を迎えそうだったところで、店員が営業手腕を発揮し、助けてくれる。
もうちょっと早く口を挟んでほしかった……と内心で呟きつつ、私たちはまるで本物のカップルのように、肩を寄せ合って婚約指輪の検討を続けた。
行きはバスを使ったが、帰りは疲れもあったので深澄さんとタクシーでステイ先のホテルへと戻った。
「どうして一緒にいるのかと同僚に聞かれたら、なんて説明すればいいですか?」
後部座席に並んで座る彼に聞いてみる。深澄さんは少しも動揺せず、軽く私に視線をよこす。
「もうすぐ結婚すると説明すればいいだけだ。指輪もオーダーしたし、いい加減、逃げられないからな」
「……わかってますよ。CAに二言はありません」
「意外と気に入ってるのか? そのことわざ」
「まさか。あなたに逆らっても徒労に終わると理解したので、単にどうでもよくなってるだけです」
力なく言って、窓の外に視線を向ける。夕暮れ時を迎えたビーチは薄暗く、水平線には金色の美しい夕日がゆっくりと沈んでいく。
「綺美」
ふと、深澄さんが静かな声で私を呼ぶ。
振り向くと、夕陽の色を美しく反射する彼の瞳と目が合い、反射的にどきりとした。