愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

【七里さんへ

 初めてあなたを見た時から、七里さんは僕にとって、ただのCAではありません。あなたが優しく笑いかけながら飲み物を渡してくれたその時、僕の胸は熱く震えました。だって、他の客に向ける笑顔とは、明らかに違ったんですから。連絡先を受け取れなかったのは会社の規則のせいだとおっしゃっていたので、ここに改めて僕の連絡先を記します。それと、心配なことがひとつ。最近、きみの周りをうろついている目つきの悪い男は誰ですか? しつこくされて困っているなら、相談してください。僕は、七里さんの味方です。あなたのマンションの部屋番号はわかったので、また手紙を書きます。 虎須目】

 ――虎須目。その特徴的な名前の男性を思い出した瞬間、全身の肌が粟立った。

 あれは確か、夏のフライトでのこと。

 サンフランシスコから日本へ向かう上空で、やたらと視線が合ったり微笑みかけてきたり、さらには手を握ってきたお客さんがいたのを覚えている。

 渡されそうになった名刺は丁重にお断りしたし、彼の方も納得したかのように見えた。

 でも実際は、この手紙にあるように変な妄想を膨らませていたってこと……?

 その執着心が恐ろしくて、思わず自分の二の腕をギュッと抱く。

 私を追いかけ回していたのも、この人である可能性が高そうだ。

「深澄さん……」

 ほぼ無意識でその名を呟き、スマホを握りしめる。仕事直後で疲れている彼に助けを求めたら、迷惑だろうか。

『日本に戻ったらすぐにでも俺のところへ来い』

 躊躇う私の脳裏に、ハワイで彼が言ってくれた言葉が蘇る。

 ……そうだ。彼を信じようって決めたじゃない。

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