愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
他に頼れる人もいない私は、意を決して彼に電話をかける。呼び出し音が鳴る間は心細かったけれど、深澄さんはすぐに応答してくれた。
『はい』
「深澄さんですか? さっき帰宅したら、ポストに変な手紙が入っていて……それで、私……」
怖くて――と素直に言うことができず、口ごもる。
彼を信じようと決めたのはいいけれど、誰かに助けを求めることはやっぱり苦手なのだ。
黙り込んでいると、電話の向こうで物音がする。
『すぐ行く。俺が着くまで絶対に家を出るな』
私の気持ちを見透かしたように、彼が短くそう言った。
彼が来てくれる。そう思っただけで気が緩んだのか、ふいに目が潤んだ。
これくらいで泣くなんて、情けない……。彼に聞こえないように小さく洟を啜り、平静を装って口を開く。
「ありがとうございます。でも、家にいる限りは大丈夫だと思いますから、そんなにすぐでなくても、深澄さんのご都合の良いタイミングで――」
「無理して強がるな。泣くほど怖いくせに」
「べ、別に泣いてなんか……」
どうしてバレたんだろう。軽く狼狽えていると、スマホ越しに車のエンジンがかかる音が聞こえた。
「まぁいい。もう出るから、俺が着くまでに鼻水を拭いておけよ」
「だから、泣いてませんってば……!」
ムキになったそう言った私は、通話を終えるとふう、とため息を吐く。
彼の軽口には相変わらず噛みついてしまうけれど、おかげで恐怖はだいぶ和らいでいた。