愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「ご不快だったらすみません。いずれそう呼んだ方がいいのだろうと思って、練習をしてみたのですが」
「……どういう心境の変化かと思ったら、そういうことか」
ふっと苦笑した彼が、ハンドルに片手を預けながら私を見る。
わずかに細められた目、微妙に上がった口角……私の勘が正しければ、なにか悪いことを考えている時の顔だ。
嫌な予感……。
「今のは下手くそだったし、練習は確かに必要だな」
「しょ、しょうがないじゃないですか。初めてのことなんですから」
「じゃあ、今度は俺の目を見て名前を呼んでみろ」
ほら、やっぱり……。
からかわれているだけとわかっていても、ジッと見つめてそんなことを言われたら、自然と頬が熱くなってしまう。
とはいえ、できないと思われるのも悔しい。
私は挑むような視線をまっすぐ彼に向け、すうっと息を吸った。
「知隼さん」
ちゃんと、言えた。これで文句ないでしょうという目で彼を睨むものの、深澄さんは意味深な表情を崩さない。
「聞こえなかった。もう一回」
「嘘ばっかり……。こんなに静かな車の中で聞こえないなんてことあるはずないでしょう!」
さすがにこれ以上のおふざけには付き合いきれなくて、ぷいっと窓の方へ顔を背ける。
すると、太腿の上で軽く重ねていた両手の上に、そっと彼の手がのせられた。その感触にドキッとして、思わず視線を運転席の彼の方へ戻す。