愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

 目が合った彼は、少し気まずそうに目を伏せて笑った。

「調子に乗って悪かった。とはいえ、名前ひとつ呼ぶだけで俺を手玉に取るお前の方が、ずっとたちが悪いけどな」

 静かなため息とともにそう言われ、緩く手を握られる。

 私が、彼を手玉に取る……?

「言いがかりですよ。私はそんなつもり……」
「お前に自覚がないのはわかってる。さ、そろそろ道草はおしまいだ」

 気を取り直したようにそう言った彼は、重ねていた手をスッとシフトレバーへと移動させ、再び車を動かす。

 彼が一体なんの話をしていたのかまったく理解できなかったけれど、追及したとしてもはぐらかされそうなので黙っていた。


 知隼さんのマンションを訪問するのは二度目だ。

 外観も共用部も相変わらずの高級感で気後れしつつ、それでも前回よりは多少緊張せずに、案内された彼の部屋へお邪魔する。

 まずは荷物の整理が必要だろうと、さっそくゲストルームに通された。

「一度泊まったから、部屋の設備はなんとなく覚えてるだろ? 服はクローゼットに入れればいいし、置いてある家具は自由に使って構わないから」

 開け放たれたドアの枠にもたれ、腕組みをした彼が言う。私はさっそくクローゼットの前でキャリーケースを開いた。

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