愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「は、はじめまして、七里綺美です……弟さんにはいつもお世話になっています」
『いえいえ、こちらこそ。知隼って俺様だから付き合うの大変でしょう?』
「はぁ……まぁ……」
曖昧に返事をしたら知隼さんにじろりと睨まれたので、慌てて取り繕う。
「や、優しいところもたくさんあります! 仕事ではいつも励ましてもらっていますし、フライト先では私へのお土産を欠かさず買ってきてくれるんですよ」
『へえ~。あの知隼が……。それを聞いたらますます綺美ちゃんに会いたくなってきちゃった。ふたりとも、今日は休みなんでしょ? ちょっと顔を出したらすぐ帰るから、これから息子を連れてそっちに向かうね』
「え」
息子さんまで……?
知隼さんが、頭痛を堪えるように額に手を当てる。
「勘弁してくれ。うちのマンションはうるさい人間お断りだ」
『失礼ね。うちの快晴は太陽くんに似てお行儀がいいから大丈夫ですー』
「快晴じゃない。俺が言ってるのは親の方だ」
『今から行けば、ちょうどおやつの時間よね。なにか甘いもの買って行くわね。それじゃ後で~』
速いテンポで繰り広げられる姉弟げんかに呆然としているうちに、通話はプツッと途切れる。
知隼さんは険しく眉根を寄せて、こめかみを指でぐりぐり押していた。相当な精神的ダメージを食らってしまったようだ。