愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「露木さん、優しそうですもんね」
「やっぱり同僚から見てもそう思う? みんなに対して平等に優しい夫を尊敬もしているけど、ちょっと妬けちゃうんだよね~」
嫉妬心を隠さずに軽くため息をつく美空さんは、少女のようにかわいらしかった。
長年夫婦として連れ添い、快晴くんというかわいい息子さんだっているのに、未だにヤキモチを妬くなんて。
私にとってはかなり驚きであると同時に、美空さんたちご夫婦が純粋に羨ましい。
私も、自分の両親よりは彼らのような夫婦をお手本にして、知隼さんといい関係を築けていけたら――。
「綺美。飲み物なら俺が準備する。うちのキッチンのどこになにがあるか、お前にはまだわからないだろう」
今後の結婚生活にぼうっと思いを馳せていたら、すぐそばで彼の声がしたのでビクッとしてしまった。
知隼さんが怪訝そうに私の顔を覗き込むが、距離が縮んだせいで心臓が過剰に跳ねる。
「そんなに驚かなくたっていいだろう。俺の肩に幽霊でも乗ってるのか?」
「い、いえ」
「だったらお前は座って姉と快晴の相手をしててくれ。ちなみに姉の話は全部聞き流して構わない。喋りたいだけ喋ればいずれ満足する」
「ちょっと知隼、聞こえてるわよ。綺美ちゃんが褒めてくれるからっていい気になってまったく……」
お姉さんの言葉に、知隼さんがきょとんとして目を瞬かせる。
さっきの話は、相手が美空さんだったから打ち明けたものだったのに……!
「……褒めてくれたのか?」
知隼さんがあえて私に尋ねてくるのは、きっとわざとだ。
素直に答えるのが悔しくて、私は返事をせずに誤魔化した。
「お言葉に甘えて、私はお客さんのお相手をしてきます!」
逃げるようにキッチンからテーブルの方へと回り、美空さんと太陽くんの対面に腰を下ろす。
知隼さんはそれ以上追及してこなかったが、飲み物を用意しながらなんとなく楽しげに口角を上げていた。