愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

『すぐに帰る』の宣言通り、美空さんたちは二時間ほど滞在しておしゃべりを楽しむと、あっさり帰っていった。これから快晴くんの習い事があるらしい。

 少々緊張したけれど、とても気さくなお姉さんだったし、ギリギリ喧嘩にならない程度の、しかしエッジの利いた姉弟の会話は聞いているだけでおもしろかった。

 快晴くんにこっそり『いつもこうなの?』と聞いてみたら、『そうだよ。パパがいるとふたりともちょっとエンリョするけど』と言っていて、思わず笑ってしまった。

 彼らを見送った後、知隼さんが改めてコーヒーを淹れてくれるというので、私はお行儀よくソファに座って待っている。

 少しして、彼が湯気の立つマグカップをふたつ運んできた。ひとつを私に手渡した後、自分の分はコトッとテーブルに置く。

 コーヒーのいい香りが周囲に漂う中、ソファが沈んで彼が隣に腰を下ろした。珍しく疲れた横顔だ。

「悪かったな。予定外のことに巻き込んで」
「いえ。最初は焦りましたけど、楽しい時間でしたよ。仲のいい家族ってこんな感じなんだって、教えてもらった気がします」

 そう言って、彼の淹れてくれたコーヒーをひと口飲む。じっくりとペーパードリップで抽出してくれたからか、香りも苦味も本格的で美味しい。

< 98 / 150 >

この作品をシェア

pagetop