この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
気を取りなおしたように愛理はそう言うが、浮かべた笑みは即座に消える。大きめに切り分けたキッシュを口いっぱいに頬張った。
小動物のようにもぐもぐと口を動かしながらも、目には力がない。視線はテーブルに落ち、今にも涙が零れそうだ。
そんな健気な姿を前にして平常心でいられようか。波立った心のやじろべえはぐらぐらと動きはじめた。頭ではダメだとわかっているのに、胸が詰まり、今すぐ手を差し伸べてあげたくなってしまう。
(ダメダメ。ここは心を鬼にするのよ)
そう命じるのに、思考とはべつに、気持ちと連動した口が勝手に動く。
「わかった。私が代わりにお見合いに行く」
「……え?」
愛理が目をパチッと瞬かせる。
「お相手と会って、向こうから断るように仕向ければいいんでしょう?」
「……本当にいいの?」
チワワのように潤んだ瞳が帆奈美を捉える。可愛らしい愛理にそんな顔をされて、突っぱねられる人はきっとこの世にいない。これまでに何度かあった別れの場面で、愛理の彼が彼女に絆されたのも無理はないのだ。そこに愛があったからこそにせよ。
「私に任せて」
帆奈美が胸を張って応えると、愛理はぱぁっと顔を輝かせ「やったぁ!」と手を叩いた。
小動物のようにもぐもぐと口を動かしながらも、目には力がない。視線はテーブルに落ち、今にも涙が零れそうだ。
そんな健気な姿を前にして平常心でいられようか。波立った心のやじろべえはぐらぐらと動きはじめた。頭ではダメだとわかっているのに、胸が詰まり、今すぐ手を差し伸べてあげたくなってしまう。
(ダメダメ。ここは心を鬼にするのよ)
そう命じるのに、思考とはべつに、気持ちと連動した口が勝手に動く。
「わかった。私が代わりにお見合いに行く」
「……え?」
愛理が目をパチッと瞬かせる。
「お相手と会って、向こうから断るように仕向ければいいんでしょう?」
「……本当にいいの?」
チワワのように潤んだ瞳が帆奈美を捉える。可愛らしい愛理にそんな顔をされて、突っぱねられる人はきっとこの世にいない。これまでに何度かあった別れの場面で、愛理の彼が彼女に絆されたのも無理はないのだ。そこに愛があったからこそにせよ。
「私に任せて」
帆奈美が胸を張って応えると、愛理はぱぁっと顔を輝かせ「やったぁ!」と手を叩いた。