この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 「……少しだけ、期待してた。帆奈美ちゃんなら、きっと助けてくれるって」

 その声は弱々しく、けれど嘘は含まれていないように聞こえる。
 小さなため息が零れた。やっぱり断れない。
 こうして頼られてしまうと見捨てることなんてできないのだ。

 昔からずっと、そうだった。帆奈美なら大丈夫。帆奈美は強いから。帆奈美は優しいから。そう言われ続けてきた自分は、期待を裏切ることができない。
 それが自分の役目のような気さえしている。

 「もう」

 困ったように笑うと、愛理が恐る恐る顔を上げた。

 「ちゃんと成功報酬もらったから、今さら返品はできない」

 わざと冗談めかして言うと、愛理の瞳にみるみる光が戻る。

 「帆奈美ちゃん……!」
 「絶対に成功させるわ。相手の人に、きっぱり振ってもらうから」

 そう言いきった瞬間、不思議と腹が据わった。
 やると決めた以上、中途半端は性に合わない。引き受けたからには最後までやり遂げる。
 それが立原帆奈美という人間なのだから。

 「その代わり、どうしたら振られるか一緒に考えてくれる?」
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