この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
宏臣は普段、この部屋で日高がテイクアウトしてきたものを仕事しながら食べることが多い。が、今日はグループ会社の役員たちとの重要な会議が控えていたため、気分転換も兼ねて外へ出た。
移動販売のワゴンが並んだその先。まさか、そんなところで会うとは思いもしない。本当にたまたまだった。
「母は相変わらずせっかちですね」
「今回のお相手が気に入らないなら、すぐに次を、と」
「母らしいですね。気に入らなければ次ですか」
東城コンツェルンを背負って立つには、支えとなる妻を早く迎え、次期社長としての地位を盤石にすべき。それが母の持論だ。
幼い頃からそう言われて育ったからか、将来はどうせ政略結婚だと、恋愛にはひとつも興味を持てずに生きてきた。言い寄ってくる女性がいなかったわけじゃないが、たいていは宏臣の家柄や肩書きが目当て。形ばかりの恋人しかいたことはない。
母はそれを憂い、二十八歳を過ぎたあたりからは、宏臣の月間業務としてお見合いが仕込まれている。良家の令嬢が集まる場があると耳にすれば送り込まれ、顔を合わせれば合言葉のように結婚を持ち出される。このままでは一生独身だと不安なのだろう。
「それで、どうだったのですか? 今回のお相手は」
日高は淡々と尋ねた。好奇心というより、業務報告を確認するような口調だ。
宏臣はカップを持ち上げ、コーヒーをひと口飲んだ。
移動販売のワゴンが並んだその先。まさか、そんなところで会うとは思いもしない。本当にたまたまだった。
「母は相変わらずせっかちですね」
「今回のお相手が気に入らないなら、すぐに次を、と」
「母らしいですね。気に入らなければ次ですか」
東城コンツェルンを背負って立つには、支えとなる妻を早く迎え、次期社長としての地位を盤石にすべき。それが母の持論だ。
幼い頃からそう言われて育ったからか、将来はどうせ政略結婚だと、恋愛にはひとつも興味を持てずに生きてきた。言い寄ってくる女性がいなかったわけじゃないが、たいていは宏臣の家柄や肩書きが目当て。形ばかりの恋人しかいたことはない。
母はそれを憂い、二十八歳を過ぎたあたりからは、宏臣の月間業務としてお見合いが仕込まれている。良家の令嬢が集まる場があると耳にすれば送り込まれ、顔を合わせれば合言葉のように結婚を持ち出される。このままでは一生独身だと不安なのだろう。
「それで、どうだったのですか? 今回のお相手は」
日高は淡々と尋ねた。好奇心というより、業務報告を確認するような口調だ。
宏臣はカップを持ち上げ、コーヒーをひと口飲んだ。