この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 「……いつも通りですよ」

 短く答えてから、ふと昼間の光景がよぎる。
 ビルの合間のベンチできょとんと目を丸くしていた顔や、お嬢様然としていない間の抜けた声を思い出して笑みが零れる。

 「ただ、少し変わった人でしたね」

 日高がわずかに眉を上げた。

 「副社長が具体的な感想を言うなんて珍しいですね」
 「そうですか? 令嬢にしては妙に飾らない人でした。……まぁ、それだけです」

 宏臣はそう言い、カップをソーサーに戻した。
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