この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 愛理はしどろもどろになりながら首を振るが、老婦人はもう聞いていない様子で孫娘に手を引かれていった。

 「本当にありがとうございました」

 何度も頭を下げる孫娘に見送られ、ふたりはラウンジをあとにする。少し歩いてから、彼女が気まずそうに口を開いた。

 「遅れてすみませんでした」
 「いえ」
 「ホテルの近くで、さっきの女性が転びそうになっているところを見かけて……。お孫さんとこのホテルで待ち合わせしているっておっしゃっていたので、ここまでお送りしようと思って」

 そう言いながら、申し訳なさそうに視線を下げる。見て見ぬふりはできなかったのだろう。自分のことしか見えていない、宏臣の知る令嬢たちとは違うらしい。
 宏臣は軽く頷いた。

 「事情はわかりました」

 レストランの入口が見えてくる。

 「続きは中で」

 スタッフがドアを開け、宏臣は愛理をエスコートするようにして店内へ入った。
 先ほどの席に戻ると、愛理は改めて頭を下げた。

 「本当に申し訳ありませんでした。お待たせしてしまって」
 「気にしていません」
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