この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
宏臣はグラスの水に口をつける。
「むしろ、意外な場面を見られました」
「……はい? 今なんて?」
宏臣がボソッと呟いたひと言は聞こえなかったらしい。向かい合って座った彼女は、耳に手をあててテーブル越しに顔を近づけた。
「いえ、こっちの話です。それにしても、随分大胆な誤解をされてしまいましたね」
「あ……」
愛理が一瞬固まる。老婦人の言葉を思い出したのだろう。
「お似合いの夫婦、でしたっけ」
「否定するタイミングを完全に逃してしまいました。すみません」
「べつに困りはしません」
慌てて頭を下げる彼女に、宏臣は淡々と言う。あの場限りのやり取りだ。気にする話じゃない。
「よかったです。ほっとしたらお腹が空きました」
そう言うと、愛理はメニューを開いた。先ほどの謝罪の空気を引きずる様子もなく、わりと真剣な顔でページをめくっている。
宏臣はグラスを指先で回しながら、その様子を眺めた。
普通なら、もう少し気まずそうにする場面だろう。だが彼女はすでに食事のことに意識が向いているらしい。
自然と笑みが零れる。
「むしろ、意外な場面を見られました」
「……はい? 今なんて?」
宏臣がボソッと呟いたひと言は聞こえなかったらしい。向かい合って座った彼女は、耳に手をあててテーブル越しに顔を近づけた。
「いえ、こっちの話です。それにしても、随分大胆な誤解をされてしまいましたね」
「あ……」
愛理が一瞬固まる。老婦人の言葉を思い出したのだろう。
「お似合いの夫婦、でしたっけ」
「否定するタイミングを完全に逃してしまいました。すみません」
「べつに困りはしません」
慌てて頭を下げる彼女に、宏臣は淡々と言う。あの場限りのやり取りだ。気にする話じゃない。
「よかったです。ほっとしたらお腹が空きました」
そう言うと、愛理はメニューを開いた。先ほどの謝罪の空気を引きずる様子もなく、わりと真剣な顔でページをめくっている。
宏臣はグラスを指先で回しながら、その様子を眺めた。
普通なら、もう少し気まずそうにする場面だろう。だが彼女はすでに食事のことに意識が向いているらしい。
自然と笑みが零れる。