この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 「東城さんっておもしろいですね。変な人って言われませんか?」
 「どうでしょう。陰で言われているのかもしれませんが、少なくとも私の耳には入ってきていません」

 宏臣は大真面目に答えたあと、口元を緩めた。
 愛理は一瞬きょとんとしたあと、ふっと吹き出した。

 「真面目に答えてるのか冗談なのか。やっぱり変です。普通は引きますよね」
 「食欲が旺盛だとは思いますけど、健康的でいいと思いますよ」

 人の目を気にして食欲を我慢しているより、むしろ好印象である。食べさせ甲斐があるといったらいいか。
 縁談の席では、料理にほとんど手をつけない女性も多い。上品さを保とうとしているのだろうが、会話の合間に小さくつまむ程度では、食事としては成立していない。

 いつだったかお見合いした中に、少食こそ正義みたいな女性がいた。サラダをふた口ほど食べただけで『もう十分です』とフォークを置く様子を見て、この女性との結婚は絶対にないと思ったものだ。たとえそれが、遠慮や緊張によるものだとしても。

 その点、愛理はずっと率直だ。
 たぶん好みの問題だ。それを慎ましやかだと好意的にとらえる人もいるだろう。宏臣がそうではないだけだ。

 「それにせっかく食事をするのに、楽しそうに食べない人と一緒ではつまらないでしょう」
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