この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 間髪容れずに返ってくる。

 「少なくとも、俺は聞く」

 それが当然だと言わんばかり。想定外に真っすぐな目をして言われ、息が詰まった。

 (どうしてこの人には、こんなことまで話しちゃうんだろ……)

 推しのことだけじゃない。家族のことや自分の立ち位置、普段はわざわざ口にしないようなことまで。

 鉄板の上で、肉がじゅうっと音を立てる。
 いい香りが広がる中で、帆奈美は自分の胸の奥にある感情に、ようやく気づきはじめていた。

 (もしかしたら、この人になら少しだけ素直になってもいいのかもしれない)

 そこまで思った瞬間、はっとした。

 (……なに考えてるの、私)

 急に現実に引き戻される。
 相手は東城宏臣だ。住む世界が違う人間で、そもそも自分とは釣り合うはずもない相手。 しかもはじまりは身代わりのお見合いで、普通ならとっくに終わっている関係だ。
 そんな相手に〝素直になってもいい〟なんて。

 (調子に乗りすぎでしょ)

 胸の奥に広がりかけた甘い感情を慌てて押し戻す。

 「なんか変なことまで話しちゃってすみません」
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