婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】
「くふっ…お、お嬢様…下品にも程がありますよ」
私がパクパクと食べていると目の前のルリが注意をしながら笑いを堪えている。
「いいの、いいの〜っ!口いっぱいに入れるとすんごい美味しいんだよ?ルリも食べてよ〜!!」
この美味しさを共有したい私はルリにふんわりと笑うとケーキを差し出す。
「私は遠慮しときます。他にもまだまだ美味しそうなのがあったのでお持ちしますね」
働き者のルリは、私のためにまたせっせとお菓子を取りに戻っていってしまった。
こんなルリとの毎日がモラハラ男によって縛られていた私にとってはとても穏やかな幸せな時間だ。
そんな時だった……
「キャア!!ギル様がいらっしゃったわ!」
「なんて今日も素敵なのかしら!」
むしゃむしゃとお菓子を頬張っていると黄色い声が下の会場から響く。
これも夜会では、いつもの事で私は全然驚かない。
「あ〜、今日もきたのね〜」
私はお菓子を頬張りながら、そんな様子を今日も静かに見守る。