目と口は同じぐらいにものを言う
「もう!千夏、キスの時ぐらい目閉じてって!!」
何度も受けている、彼からのいつもの指摘。
「恥ずかしいから嫌だ」と彼は毎回抗議してくるのだ。でも、こればかりは譲れない。
私はふっと口元を緩め、彼の頬に手を添えていつものセリフを返した。
「無理。だって、キスしてくるときの柊斗の『目』、色っぽくて大好きなんだもん。こんな綺麗なもの、閉じて見逃すわけないじゃん」
「うっ…!」
ストレートすぎる私の言葉に、柊斗は完全にフリーズした。
ただでさえ赤かった顔が、今度は熟しきったトマトのように真っ赤に跳ね上がる。彼は両手で自分の顔を覆い、ベッドの上に突っ伏してしまった。
「も~……千夏、格好良すぎ!反則…!」
布団に顔を埋めたまま、くぐもった声で悶絶している。そんなに照れる姿すらも、私にとっては愛おしくて仕方がない。
「ほら、柊斗。まだチャージ足りないんでしょ?」
私が彼の背中を優しくポンポンと叩くと、柊斗は指の隙間から涙目でじーっと私の唇を睨むように見つめてきた。その瞳には、すでに降伏のサインとそれ以上の深い独占欲が浮かんでいる。
「……もう、絶対に目閉じさせてやるんだから」
「ふふっ、できると思うの?」
そう宣言して、今度は少し強引に唇を塞いできた。
もちろん、私はその瞬間も、彼の色鮮やかな瞳をこれでもかと目に焼き付け続けたのだった。