目と口は同じぐらいにものを言う
 少しお酒が回りすぎたのか、いつも以上に足元がおぼつかない柊斗の肩を支える。サークル仲間と別れた私たちは、街灯がポツポツ灯る静かな道をゆっくりと歩いていた。

(こんなに羽目を外して飲むなんて珍しい…。いつもは自制してるのに)

 途中から男女でテーブルが分かれたため分からないが、男同士の煽り合いに乗じたのだろうか。もしくは、飲み会の独特な空気に呑まれてしまった可能性だってある。断れない空気だったら尚更だ。

「ねえ、ちなつ……」

 街灯に照らされた柊斗はほんのり赤く頬を染め、とろんとした目で私を見つめてきた。

「ん? なに、柊斗。もうすぐ駅だから頑張って歩いてよ?」
「あのさぁ……僕、ずっと言いたかったことがあって……」

 なんだか不穏な切り出しに、思わず私は歩みを止めた。まさか、お酒の勢いで別れ話でも切り出されるのだろうか。
 身を硬くする私をよそに、柊斗は熱っぽい視線を私に向ける。

 正確には、私の『唇』に。

「俺、ちなつの唇が本当に好きなんだ。形も色も、喋るたびに動くところも……世界で1番綺麗だと思う。ずっと、ずーっと見ていたいくらい、本当に好き」
「……はい?」

 思わず素っ頓狂な声が出た。告白、にしてはあまりにもピンポイントすぎる。
 しかし彼は、いつも通りの笑顔で「えへへ」と笑ったのだった。
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