ただいま緊急で婚約破棄を望んでいます!
 えっ……王子様からの真剣な告白を聞いて、キュンとした。胸がキュンとしたけど、このままだと私……もうすぐ死にます!

 とにかく、もう……なりふりは構っていられないわ。

 もう一度壁掛け時計を見れば、零時はすぐそこまで迫っていた。

 私は肩を持つクリス様を振り切り立ち上がって、応接室にある大きな出入り口を開いて、バルコニーへと出た。

「クリス様……! 婚約破棄してくれないのなら、私はここから飛び降ります!」

 私は柵に手を掛けて、驚いて目を見開いている彼のことを見つめた。

 どう!? 私はもうここから飛び降りる気、満々ですよ! 早く婚約破棄して!

「……アンネローゼ? 一体、どうしたんだ」

 困惑した表情のクリス様。月光の下でも彫りが深くて美麗だわ……というか、そんなことはどうでも良くて!

 ここで落ちて死んでも、婚約破棄されず死んでも、同じことなのだ。

 ここで飛び降りて、死ななくても重症でも……すぐそこに死が迫りくる私にとってみれば、何が何だかまったくよくわからないけど、もう少しで婚約破棄されないと死ぬんだけど?!

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