ただいま緊急で婚約破棄を望んでいます!
「そうです! 私好きな人が居て、クリス様とは、結婚できません!」

「……!!」

 大きな衝撃を受けたクリス様のお顔。なんだか、それを見て、胸が痛むけど、仕方ない。命の方が大事なんです!

「お願いします! 私と婚約破棄してくださいぃぃぃいい!!」

 悲鳴に似た高い叫びが出て、そこへ面白がる声がひとつ響いた。

「そういうことだ。婚約破棄してやれよ。王子様」

「お前……! 一体……悪魔か。どうやって城へ入りこんだ?」

 クリス様は宙に浮いた黒衣の男を見て、非常に驚いたようだ。ええ。驚くよね。私も驚いたもの。

 ……ん? 悪魔?

「どうせ、お前はこの先いずれ婚約破棄して、別の女と結婚するんだ。早い方が良い。どうぞ早めに楽にしてやってくれ」

「僕はアンネローゼと婚約破棄などしない。もしセイラへの嫉妬が原因であれば、彼女の後見人は弟へと譲る……何を言い出したんだ……いや、悪魔。お前は誰に呼び出された?」

「さあな。誰だと思う?」

 睨み合い緊迫感のある会話だけど、私には命の危険が迫っていた。だって、もうすぐ私、死ぬんですよ!

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