待てない、夏!

第7話 あの日の勘違い

「なんだ」

先輩はそう言って、
私を見た。

「バカだな、俺」

陸先輩……。

何か言おうとした時だった。

「お久しぶりっす!」

佐野が
ビール片手に現れた。

「陸先輩、
相変わらずカッコいいっすね〜」

もう酔ってる。

「佐野!あんたさっ!」

思わず声が大きくなる。

「な、何だよ」

「私と付き合ってるって、
言ってたの?」

佐野の肩がぴくっと動いた。

「……バレた?」

「バレた?じゃないでしょ!
なんでそんな嘘つくのよ!」

「だってさ。あの頃、
由夏のこと好きだったし」

佐野は頭をかいた。

「それに、陸先輩に取られたと思ってたし」

「取られてないわよ!」

「結果的にはな」

「なってない!」

私が反論すると、

佐野は少し笑った。

そして、

「でもさ。
本当に好きだったんだよ」

珍しく真面目な声だった。

「だから必死だった」

一瞬だけ静かになる。

「だって、
いつもお前の視線の先には、

俺じゃなくて陸先輩がいたから」

そう言って、

佐野は苦笑した。

「ね?そうですよね、陸先輩」



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