一番星にキスをする
「ひぃっ……!」

 恐怖のあまり、悲鳴にならない悲鳴をあげる。慌ててベッドから逃げ出そうとするが、「おはよう、丸山」と甘い声がして、一瞬で体が凍りつく。

「お、おはよう……ございます……」
「なんで敬語なのさ」
「いえ、あの、事態を飲み込もうと必死なんだけど、頭が痛くて働かないというか……」
「ふーん」

 修がそういいながら聖の胸を再び揉み始めたので、身体中に鳥肌が立つのを感じた。

「胸を揉まないで!」
「えー、だって昨夜は自分から触って欲しいって──」
「言ってない言ってない! 言うわけない!」

 頭を激しく左右に振り、思い出さないよう必死になるが、むしろ頭の痛みを増長させ、再び枕に突っ伏した。

「それに丸山の方からしようって──」
「絶対に言ってない! 勘違い!」
「あはは、丸山必死過ぎ。まぁお互い同意の上だし、クリスマスにハメを外すのもアリだと思う!」

 これは彼の作り話だと思いたかった。しかし枕元にある空っぽになった空き箱とビニールの個包装、下半身の鈍痛が、昨夜にあった出来事を物語っている。

 ゴミ箱を覗くのが怖いくらいだった。

(まさか同期とワンナイトしちゃうなんて……酔っていたとはいえ、とんでもないことをしちゃったよー)

 そこで未だに胸を揉まれていることに気付いて、ハッと我に返った。

 修の腕から逃れようと必死にもがくが、ガッチリとホールドされていて、ぴくりとも動かない。

「ちょっと、いつまで揉んでるのよ」
「いや、気持ちいいおっぱいだなって思って。昨日はいっぱい……」
「そ、そういう話はいいから! そろそろ解放してくれない?」

 すると修は解放するどころか、聖の耳をぺろっと舐めたのだ。

「あぁっ……!」
「ふふ、可愛い声。昨日の丸山もすごく可愛いかったよ。あんなにしたのに、俺まだいけるんだよねぇ。体の相性ぴったりなんだろうな」

 相性と言っているけれど、その時の記憶がない聖には、いいか悪いかの判断はつかなかった。
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