一番星にキスをする
「恥ずかしいから、あっち向いてて」
「はーい」

 修が聖に背中を向けながらキッチンに向かったので、その間にソファ周りにあった服をかき集めてベッドに戻る。

 掛け布団の中に潜って着替えていると、リビングが昨夜のままであることに気付いた。

(みんなも酔ってたし、きっと牧川がみんなを帰したんだろうなぁ。なんだかんだで優しいんだもん)

 聖は着替えを済ませ、カバンから化粧ポーチを取り出す。軽く直してから、寝癖が戻らないのをカバーするために、ヘアゴムでポニーテールを結んだ。

 それからリビングに行き、昨夜買ってきた酒類が入っていた袋にゴミを入れ始めた。

「えっ、丸山ってば、そのままでいいよ。俺が後でやっておくし」
「部屋まで貸してくれたのに、そういうわけにはいかないでしょ。私が勝手にやってるだけだから気にしないで!」
「ありがとう。丸山、めちゃくちゃ頼もしい」
「まぁね」
「じゃあその間に、軽く何か作るよ」
「えっ、いいの? そっちの方が頼もしいじゃない」

 聖がぱっと顔を輝かせると、修は何か閃いたかのように目を見開いた。

「じゃあさ、俺たちこれから──」
「それは無理」

 妙な胸騒ぎがして、ついその場で拒絶してしまう。

「セフレとかそういうのはいらないから。私はお互いにちゃんと恋愛感情のあるお付き合いをするって決めているの」
「……俺まだ何も言ってないのに」
「でも今発する言葉って、この行為の上にあるもののような気がするから……だから今はいつも通りにしてほしいの。わかるかな?」

 雰囲気や空気に流されて、後から『やっぱり違った』と思いたくない。一つの出会い、そこから自然と芽生える恋を大事にしたかった。
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