あたし恋をしてるかも【恋愛短編集】
ふと気が付くと、赤星先輩の姿が見当たらない。
いつから居ないんだろう、作業に熱中していてちっとも気付かなかった。
先輩のいない教室、なんだか広くて寂しい。
先輩、ひとりにしないでよ。
出来ることなら、ずっとそばにいたいんだよ…。
ピピピッ!
いきなりメール着信音が鳴る。
非常階段に来てごらん!
赤星先輩からのメールだった。
非常階段なんかで、何をしているんだろう。
首をかしげつつ、小走りで向かった。
非常階段の扉を開けると、赤星先輩が空を見上げている。
「お、きたきた。さくらちゃん、空見てみ?」
先輩の手が、夜空を指差す。
その指の方向へ目をやるように空を見上げると、そこには…
「うわぁ…、すごい星…。」
少し寒くなった秋の夜空には、キラキラと輝くたくさんの星があった。
「だろ?すげぇ綺麗だよな!」
はしゃぎながら笑う、赤星先輩。
その瞳には、星の光が反射していて、正直この夜空よりも綺麗だった。