あたし恋をしてるかも【恋愛短編集】



ふと気が付くと、赤星先輩の姿が見当たらない。

いつから居ないんだろう、作業に熱中していてちっとも気付かなかった。


先輩のいない教室、なんだか広くて寂しい。



先輩、ひとりにしないでよ。

出来ることなら、ずっとそばにいたいんだよ…。



ピピピッ!

いきなりメール着信音が鳴る。


非常階段に来てごらん!


赤星先輩からのメールだった。


非常階段なんかで、何をしているんだろう。

首をかしげつつ、小走りで向かった。



非常階段の扉を開けると、赤星先輩が空を見上げている。


「お、きたきた。さくらちゃん、空見てみ?」


先輩の手が、夜空を指差す。

その指の方向へ目をやるように空を見上げると、そこには…


「うわぁ…、すごい星…。」


少し寒くなった秋の夜空には、キラキラと輝くたくさんの星があった。


「だろ?すげぇ綺麗だよな!」


はしゃぎながら笑う、赤星先輩。

その瞳には、星の光が反射していて、正直この夜空よりも綺麗だった。




< 19 / 70 >

この作品をシェア

pagetop